プロローグ 記憶

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プロローグ 記憶

そっちに行ったぞ、カイト!」  少年の掛け声が聞こえ、俺は閉じていた目を開けた。 「やっと出番だな」  小さく呟き、ターゲットを確認すると、一気に駆け出した。 「オオォォォォ!」  目の前に現れたのは、全体的に黒で、両腕の羽は関節や脚などが常に妖しげな紫色の光を放っている。顔は豹のようで、胸のあたりには二つのふくらみがある。  このアラガミは、第二種接触禁忌種のヘラだ。  ヘラは両腕の羽に赤い炎をまとって、俺の方へ向かってきた。  それを高くジャンプしてかわすと、同時にその背を切りつける。 「グオォォ」  ヘラが一瞬痛みにひるんだ隙に、青い軌跡を残しながら斬撃を入れていく。    その時、腕羽の先についた鋭い爪で引っかこうとする。 「っ!」  ――間に合うかっ!?  至近距離だったので、回避するのは難しそうだった。  直後、水色の光芒が見え、大人の身長の三倍はあろうかというヘラの体が、大きく傾いた。   「カイト! あんまり近づくんじゃないって、いつも言ってんじゃない!」 「ごめん、師匠っ。でもナイスアシスト!」  白いニット帽に銀髪、腿までの白いコートと枯葉色のぴったりとしたパンツ姿の女性が立っていた。  その手には鈍い銀色に輝くスナイパー、アルバレストが構えられている。その銃口からは、硝煙。  アルバレストで、氷属性のパレットを撃ったのだ。 「まったく。――カイト! トキ! 畳み掛けるわよっ」 「了解っ」 「わかった!」  俺と親友はほぼ同時に叫び、俺は蒼い神機を振りかぶる。    それを見たヘラが、距離をとろうと下がったとき、親友の紅い神機が左羽を切り落とした。 「オオオォォッ!!」  苦悶の声を上げながら、アラガミはよろめいた。 「これで、終わりだっ」  俺は、振りかぶった勢いをそのまま生かし、腹部から肩に向かって斜めに切り上げる。 「ウオオオォオ」  体を真っ二つに両断されたヘラは、断末魔の叫びと大量の血を吹き上げながら、ばたりと倒れた。
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