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ミッションクリア。
俺は一つ息をつくと、コア回収のため捕食モードに変える。
制御コアユニットから大量のオラクル細胞が現れ、神機を包み込む。巨大なアギトがヘラの肉とともに心臓にあるコアを喰らった。
捕食し終えるとアギトは神機にしまわれ、もとの蒼い刀身が姿を現した。
「収穫はどう?」
広場を見渡せる低い民家の屋根から降りてきた師匠は、笑顔を見せながら尋ねてくる。
俺が己の神機の制御コアユニットを見ると、光が明滅していた。
「結構、レアなコアだったみたいだ」
答えると、ヘラの血を振り払った親友が、嬉しそうに言う。
「戦果は上々、ってわけだな。んじゃ、帰還しようか」
「ええ、そうね」
師匠も同じように頷いた。
俺もそれに同意すると、本部のヘリコプターとの集合場所に足を向ける。
しかし。
「……!」
俺は言い知れない何かを感じて、さっと振り向いた。
「? どうした、カイト?」
親友も足を止めて振り返る。
アラガミによって食い荒らされ、砂塵が風に舞う、荒廃した都市。
三人の他に、生き物の気配はない。
師匠も不思議そうに俺に向き直った。
「……」
俺はただ、じっと前を見据えた。
しばらくそうしていたが、首を振って二人の方に向いた。
「悪い。なんでもなかった――、っ!」
その瞬間、親友と師匠の後ろに、巨大な姿が現れる。
「トキ! 師匠!」
俺は二人に向かって手を伸ばす。
目の前が朱く煙り、親友と師匠の姿が消えた。
――――それから3か月。
俺は、生まれ故郷の日本にある、極東支部に配属になった。
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