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「え? リーダーはリーダーですよ」
アリサは悪びれる様子もなく、しれっと言ってのけた。
俺は苦笑しながら首の後ろをかいて、カイトに向いた。
「まあ、それはそうなんだけど……。――俺の名前はこれ」
名前が書かれたプレートを彼に見せた。
「桜庭……うみ?」
「違う。下の名前は『カイ』だ」
俺は即座に返す。
その直後、ソーマがぼそっと言った。
「ウミで合ってるぞ、カイト」
カイトが困惑した表情をしたので、俺は頬をかく。
「まあ、あれだ。細かいことは気にするな。呼び方はリーダーでいいよ。――本当は下の名前で呼んでほしいけど……」
語尾の方は、声が小さかったからあまり聞こえなかったと思う。
「何か言いました? リーダー」
アリサが、笑顔で俺に聞いてきた。
少しヘコみながら、俺は言う。
「いや、何も言ってません……」
「なあなあ、これから何する? 歓迎会やる?」
コウタは目をキラキラさせながら、はしゃいでいる。
「任務に決まってるだろ。バカが」
そんなコウタを、ソーマが一言で罵倒した。
「カイトもそれでいいか?」
一応、彼にも確認を取っておく。
「ええ。構いません」
カイトは静かに頷いた。
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