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俺たちは、自分たちが選んだ任務にカイトを参加させるという方法をとった。
最初から、彼を任務に連れて行こうと思っていたし、本人も了承してくれているので問題はなかった。
今回の内容は、クアドリガの討伐だ。
本部から配属されたということは、相当な腕を持つゴッドイーターなのだろうが、とりあえず腕試し、ということでこの任務にした。
任務を終えてきたリンドウを加え、五人は鉄塔の森にいる。
今は二手に分かれ、クアドリガを探すことになった。
カイトは二手に分れる前、アリサの神機をじっと見ていた。
「どうしたんだ?」と聞くと、彼はちょっとうつむいて言った。
『親友が使っていた神機と、同じだったんで』
そのとき、カイトの顔がとても悲しく見えたので、それ以上は聞けなかった。
「なあ、カイト」
俺は移動しながら、カイトに話しかけた。
「はい、なんでしょう?」
彼は無表情のままだった。
少し言いよどんだ後、俺は言った。
「……カイトさ、俺の一つ下だよな? なんで敬語なんだ?」
カイトは、当たり前だというように返した。
「一応、後から入隊した身として、敬語は当然かと」
その答えに、うーんと首をひねった。
彼の言い分は理にかなっているだが――。
「そうだよな。そうなんだけど、やっぱりさ、普通に話してくれ。そっちの方が俺たちも会話しやすいし」
その言葉にカイトは、はっとしたように顔をあげた。
「だって、本部でも敬語ってわけはないだろ?」
「ええ。そうですけど……」
言いよどんで、彼は口を閉ざした。
「だったら、俺たちとも普通に話してくれよ。な?」
俺はにっこりと笑う。
カイトは、ぐっと神機の柄を握りしめた後、ゆっくりと頷いた。
「……うん。わかった」
「よっし。じゃ、捜索再開だ」
俺が仕切りなおして呼びかけると、カイトはしっかりと頷く。
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