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「お前、名前なに。」 あんクリームドーナツの日。 今日もポカポカ陽気で、あんクリームドーナツを食べるのに最高のコンディションである中庭。 やつはまた俺の前に姿を現し、そんなことを言った。ああ、やつっていうのは、もちろん三科のこと。 「…は…?」 「名前だよ、名前。」 「おれの…?」 「お前以外に誰がいるんだよ…」 はぁ、と小さく溜息をついた三科。いやいやいや、まて!おかしい。これはおかしい。溜息を吐きたいのはおれの方だ。 三科…おれの名前知らなかったの?めちゃくちゃ今更じゃないの!?あれ?俺って名乗ってなかったっけ?…名乗ってないな…にしても!普通もうちょっと早く聞くよね!? ァッ、三科は普通じゃなかった。 「…高橋幸秀です…」 「たかはし、ゆきひで…」 確かめるように、しっかりと俺の名前を噛み締めた三科はめちゃくちゃ難しい顔をしてる。そしてめちゃくちゃに怖い… あ…三科、おでこ怪我してる… 「…痛そー…」 なにも考えずに、無意識的に手を三科の額に伸ばしてしまった。三科の額の右端が、紫色に変色していたから。 「おい。」 伸ばした手を、パシッと掴まれる。 .
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