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病院の前でまた、タクシーを呼ぶ。
翔が苦しそうにしゃくりあげる。
顔が赤い。呼吸が浅い。
やっぱり車を買いたい。
雨の日はいつも思う。
購入資金もないし、維持費もないから、無理だけれど。
ゆっくり、ときどき止まってもらいながら、
帰りのタクシーでは戻さずに済んだ。
しらかばハイツ202が、私と翔の部屋。
病院の借り上げ社宅にいれてもらっている。
六畳間にシンクと簡易コンロ、片隅にトイレがあってお風呂はない。
1階の共同浴場に決められた時間内に入るか、銭湯まで行くか。
水しか出ない水道で済ませるか。
翔を寝かせて汚れたものを片付け、一息つけたのは21時近くなってからだった。
翔の顔は赤く、熱はまだあるようだけど、今のところ、静かに寝ている。
隣のマリカちゃんが帰宅したようで、テレビの音が聞こえてきた。
明日は休むしかない。婦長と曽根さんに電話しなきゃ…
思うように体が動かず、床にへたり込んだまま、
しばらくぼんやりしていたようで。
…気付いたら、翔が痙攣していた。
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