1373人が本棚に入れています
本棚に追加
急いで布団をはねのけて様子を見る。
翔が白目をむいて、激しく痙攣して、口からは泡を…
「助けてっ!!
誰か、助けてっ!!
翔がっ、…翔が死んじゃう!!」
私は半狂乱で、悲鳴を上げて駆け回ったらしく、
隣室のマリカちゃんが救急車を呼んでくれて、
私と翔は中里大学付属病院に搬送された。
今夜の救急指定病院は、私の職場だった。
当直の先生が診察してくれた時には、すでに翔の痙攣は治まり、
呼吸は浅いながらも安定していた。
「熱性けいれんだな。
小さい子によくある。心配いらない」
当直医は、じっと私を見て、諭すようにゆっくり言った。
「大丈夫だ」
「…あ、…ありが…っ」
胸の前で硬く組んでいた手が、ほどけなくなっていた。
お礼を言いたいのに、声が出ない。
翔は、大丈夫。
先生の言葉を理解した途端、足に力が入らなくなる。
「おいっ」
先生に腕を支えられて、自分が腰を抜かしたことに気付く。
「す、…すみま…っ」
立ち上がろうとしても、まるで力が入らない。
「大丈夫だ」
先生が私の腕を支えたまま、ゆっくり床に座らせてくれる。
そのまま自分もしゃがみこみ、目の高さを私に合わせる。
最初のコメントを投稿しよう!