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昼過ぎまでは小雨だったのに、今はかなり激しく降っている。
渋滞しているのか、タクシーはなかなか進まない。
苦しそうに息をしていた翔が、突如、吐いた。
「あ~あ…」
車内に吐しゃ物特有のにおいが充満し、運転手さんが露骨に嫌な顔をする。
「上田医院でしょ?
後、少しだから降りてくれる?
ちょっと掃除しないと使いもんになんないからさぁ」
汚したところはできる限りハンカチで拭いてから、翔を抱えてタクシーを降りた。
激しく打ち付ける雨。
翔を濡らさないように上着をかけて、
傘を首で支え、病院に向かって歩く。
あっというまに足元からずぶ濡れ。
車で5分の距離は、歩くと長い。
上田医院についた時は、すでに18時を過ぎ、雨と吐しゃ物にまみれた私の前で、受付の窓は固く締まっていた。
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