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暗い。暗い暗い。闇だ。
何もかもが私を疎外して拒まれる嫌な感覚。終わりがない。最近は苦しいと感じない。いやもう感じることを忘れた。
感じても無駄。どんなに傷がついても誰も私を見ることはない。
私は生きていたいと感じれない。殺すだけの凶器、血髪の鬼姫だから……
「当主!なぜあの化物を野放しにするのです?」
……ほぅら。また1人殺さなきゃならない。
「あの子は人間だ。化物など二度と口にするな!」
当主は私を庇うが、結局は私に手を焼いている。実質あの人の目は私を見てはくれない。あの人でさえも。
「なら私が処分する!当主に相談した私が愚かだった!」
……
やっぱり、殺しに来る?ウフフ、アハハハハ……
「殺すならおいで?ほら。遠慮せずにさ!」
扉を開けて言い放つ。その姿や言動、雰囲気から誰もルヴィを咎められない。
処分する。つまりは殺すという簡略変換だ。
周りの村の人々は呆然としている。まるで化物を見るように……しかし、鬼神の民の長であるアラード当主だけが何も言わずに近づいて来る。
少しは希望になると浅はかな考えが過る。もしかしたらわかってくれると……
「ルヴィ、外に行ってなさい。あとで話がある。」
その時、一瞬だけ当主の眼に嫌な色が映っていたことに気付いてしまう。たぶん知りたくないことで、認めたくなかったから見えてしまったのかもしれない。
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