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「暗いとこには慣れてるから」
まるで、その言葉を実証するかの様に、男はランタンに背を向け、壁に向かって歩き出す。
後姿になると、萌葱(もえぎ)色の衣がだぶだぶなだけに、痩せこけた体つきが、特に腰から下の肉付きのなさが一層目立った。
あの王(おう)とかいう主人は、自分は派手に着飾っているくせに、どうして雇い人にはこんな身なりをさせているのだろう。
「このくらいなら、まだ……」
ふと、男は正面の壁の前で足を留める。
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