降雨

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「でも、これは、元の石がやっぱり良くねえな」 男は作り上げたばかりの柱に冷たく澄んだ目を注いだまま呟く。 「着けてみて」 私は左耳に飾りをはめた。 「真っ直ぐ向いて」 私は正面を向いた。 白目の青い、端の切れ上がった、冷たく光る二つの目に捉えられる。 「真っ直ぐだ」 声と同時に顎を挟まれて顔を上向けられた。 両耳に飾りの鳴る音が響く。 背筋に稲妻が走った。 何て、冷たい手だろう。
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