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ネルフェが奥に引っ込むと、シファはいつもの席のソファに座った。すっぽりと体を包み込むように支えてくれる。柔らかすぎず固すぎぬ高級ソファに、シファは毎度ながら感嘆の息を吐き出した。
白く清潔そうな書斎には、壁際にたくさんのトロフィーや盾、メダル、賞状などが飾られていた。どれもが、ネルフェ=ジ=ドメシ宛である。
それらの中でも一際目立つのは、王国認定第一等級医療術師の認定証とメダル、それから医療協会名誉会長のバッヂである。
どちらも弱冠二十歳そこそこの若者が手にするには余るものである。特に前者にいたっては、現在ネルフェ含め10人ほどしかいない。
しかし、これほど賞やら何やらを取っていると、それも仕方がないことなのかと思えてしまうから恐ろしい。
んん?とシファは首をかしげた。何だか以前この部屋に訪れたときより、少し増えているような……。
まさか、また何かやらかしたのかと尊敬を通り越して呆れた。一体お師匠さまはいくつ賞をぶんどれば気がすむことなのやら。はぁ。
シファが再び前に向き直ると、丁度ネルフェも戻ってきた。ついでだ、とシファはそこにある名誉の数々について問うた。
「どうぞ。ブラックでいいですか」
「ありがとうございます。して、ネルフェさま。あちらにあるあの賞状、あれは僕が以前こちらに参ったときにはございませんでした。あれはどういった賞なのですか」
「あれ?」
ネルフェはどのことを言われたのかいまいちわからなかった。仕方なく、ここ最近の出来事を思い返す。
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