ネルフェ

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 シファが最後にこの部屋に着たのは、確か一ヶ月ほど前だったか。わたしにレポートを見てもらいたいと訪ねてきたのだったなぁ。  そしてその一ヶ月の間にネルフェは賞をもらっていた。最近発行した医術学書が高く評価され、高い印税と共に手元に転がり込んできたのだ。  その旨をシファに話すと、彼はそういえばと納得した顔になった。 「まったく、師の活躍ぶりくらい把握しているものですよ」 「それは、普通の場合のことですよ。ネルフェさまはすぐに何か評価されてしまうから、そんなことに時間を割かれるならば研究していますよ」  弟子にあるまじき言葉に笑い声がもれた。やれやれ、誰がこんな風に育てたのか。いや、育てたのはネルフェである。 「まぁ、お前のことは咎めまい。もしわたしが同じ立場だったら、全く同じことを言うに違いないでしょうから」 「さすが、ネルフェさま」  それから話題は自然とシファの研究のことへと変わっていった。もとより、彼はその事でネルフェを訪ねてきたのだ。
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