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彼女は「ちょっと待ってて」とだけ言って家の中へ行ってしまった。
もう一度周りを見渡してみる。
家に、森に、人に、花に…………花?
俺の目の前にはダラダラと唾液をたらし、こちらを見つめている(?)食人花がいた。
「あー、アーユーハングリー?」
YES!!と言わんばかりの勢いで俺の頭から食らいつく食人花。
冗談じゃない!!何なんだこいつは!!
俺の顔はすっぽり食人花の口の中に納まる。暗闇の中で分かるのは食人花の舌の感触と唾液が顔をコーティングしていく感覚。
「ちょ…お姉さん!!助けて!!」
その声に気付いたのか家から人が出てくる音がした。
次の瞬間食人花の口の力がフッと抜ける。
俺はその隙をついて脱出。顔の唾液をぬぐうとそこには先ほどの女性がいた。
「ごめん!この花畑でプラントーを養殖してたの忘れてた!」
「よ…養殖?こいつ食べたりするんですか?」
彼女はコクンと頷き
「プラントーの蜜は絶品なのよ。それに茎の部分も触感が良くておいしいし。」
俺はプラントーと呼ばれる食人花の頭だけを抱える彼女が恐ろしくなってきた。
「あーちょっといいかのぉ。」
下の方から年季の入った声がした。
プラントーの襲撃で動揺していたせいか彼女の横にいる小さなお爺さんに気がついていなかったようだ。
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