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「あ、はい、なんでしょうか。」
お爺さんは嬉しそうな顔をする。
「一目見て分かった。君はこの世界の住人ではないな?」
(なっ………!?)
いきなり言い当てられると少々戸惑う。
「なぜ分かったんですか?」
「君の髪の色だよ。」
髪の色…?黒髪なんて珍しくもないはずだが…。
俺は不思議そうな顔でお爺さんを見る。
「ハハハ、この世界に黒髪の人間なんて存在しないんじゃよ。」
黒髪がいない?そんな馬鹿な。
「じゃあこの世界で黒髪なのは俺だけ……。」
お爺さんは首を横に振る。
「魔王の髪も黒色なんじゃよ。」
「魔王?この世界に魔王がいるんですか?」
「あぁ100年前いたんじゃよ。勇者様が倒してしまったがな。」
俺は首を傾ける。
「それなら黒髪はこの世界で俺だけじゃないですか。」
「それがな……。」
お爺さんの表情が暗くなる。
「最近魔王の息子が産まれたらしいのじゃよ。まだ角がはえきってないので”魔子”じゃな。」
そういうとお爺さんが古い紙切れを取り出した。
俺はそれを受け取り紙の両端を持って広げる。
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