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そこには予言の書と書かれていた。
「それはな、100年前に勇者様が魔王を討伐した後にこの村に残したものじゃ。」
そこにはこう記されていた―――――――――。
『悪魔の子が産まれしとき、天界から黒髪の勇者があらわれる。
その者はかならずやこの世界を救い、その後勇者は元の世界に戻り天界からみなをみまもるであろう。』
読み終えると俺は古くなったその紙をたたみ、お爺さんにかえす。
「わしにはこの”黒髪の勇者”が君だと思うのじゃが。」
俺は下を向き、お爺さんの顔を見ずに話す。
「もし俺がこの予言書の勇者なら、魔王を倒せば元の世界に帰れますか?」
「この予言書が正しければな。黒髪の天界人が現れるところまでは今の所あっとるのぉ。」
魔王討伐か…倒さないと帰れないんだよな。
ここはクロスソードの世界のはずだが本来のストーリーとはかけ離れた展開になっている。
つまりこれからの出来事は本作とは別。何が起こるかわからないのだ。
(でもさ、倒さないと帰れないんだろ…。)
ひたすらこの言葉を心の中で繰り返す。
「どうか、魔王討伐を引き受けてくれんかの?」
お爺さんが追い打ちをかけるかのようにささやきかけてくる。
俺は大きく息を吸い、握り拳をつくり力をこめて自分の顔を殴った。
ドゴッ。と鈍い音が響き俺は顔を上げる。自分で殴った場所が熱をおびたかのようにジンジンする。
痛い。やはり夢ではないようだ。
おれは意を決してお爺さんに叫んだ。
「やってやりますよ!魔王討伐!!」
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