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村をでて数分たった頃だった。スライムが俺の前に現れた。
水色で透明な魔物。地面に体を引きずりながらノソノソとこちらに向かってきた。
「まぁ最初の敵にしては無難だな。」
俺は背中に納まっている木の剣を鞘から抜きスライムにかまえる。
正直剣など扱ったことはないがスライム程度なら剣術は必要ではない。
スライムに向かって助走をつけ木の剣で横から斬りつける。
ブリュッ!!とゼリーが斬れる感触が手をつたう。
やはりこんなものか、俺は鞘に剣を納め旅の続きを……
「ズリ、ズリリ。」
何かが地面を這う音がきこえる。
さきほどのスライムがまだ生きていたのだ。
俺は何度も斬りつける。斬って、斬って、斬り続けた―――――――。
そして今にいたる。
「クソッ!スライムって死なないのかよ!!」
俺は今もなお剣を振り続けている。
弱点があるはずだ、初代勇者は普通に倒していたからな。
俺はスライムを凝視する。
透明な体、地面を這う動きに……ん?
よく目を凝らしスライムの中心を見ると小さな点があることに気付いた。
3センチ程の赤い玉がピクピクと動いているのだ。
「まさか……。」
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