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お互いの身体の熱を確かめるように、ギュッと抱き合ったままでいた。
肩越しに、佐伯の鼓動が伝わってきて耳の中にこだまする。
「…ユカリ」
佐伯が静かに口を開いた。
「…何?」
「俺のこと、意識した?」
意識どころじゃない。
でも、言葉にすべきかどうかまだ迷ったまま、私は黙っていた。
「ちゃんと答えて」
身体に回された腕の力が、わずかに強まる。
「ホントのこと言ってよ」
切なそうな声。
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