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ぼんやりとした視界の中で、デジタル時計だけが白い光を灯していた。 AM2:38と表示されたその光を眺めながら、肌にまとわりつく熱をどうしたものかと考える。 暗闇はいつもより五感を研ぎ澄ます。 目覚めた瞬間に、今の状況を、あぁそうか…とどこか冷静に理解した。 穏やかな温もりの中で受け止めた現実の温度差に、正直なところ戸惑ってはいる。 でも、どう足掻いてもこうなる予感はしてた。 じっと身動きせずベッドの中にいる私を抱えるようにして、佐伯がいた。
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