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夜が明ける少し前、佐伯は帰っていった。 佐伯の家がここから2駅分しか離れていないことを、私は初めて知った。 明け方の張り詰めた空気の中に消えていく自転車の後ろ姿は、やっぱり高校生だった。 「じゃ、また学校で」 うん、と少し笑って別れた後、佐伯が消えた先をしばらくの間見つめていた。 そうして、何事もなかったかのように夜は明けていく。 空の端が薄紫色に染まり始める。 はぁっと1つため息をつくと、私はのろのろとエレベーターに乗り込んだ。 1人きりの空間には慣れているはずなのに、そのときどうしてか無性に淋しさを感じていた。
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