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コツコツとヒールの音を響かせながら歩く帰り道。 吐く息がわずかに白い。 まだドキドキと高鳴る鼓動を抑えることができないまま、足を止めて顔を上げた。 見上げた空には、下弦の月がくっきりと浮かんでいた。 初めてだった。 自分を見失うほどの想いに一瞬で陥ったのは。
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