学園島 路地裏にて

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 うん、思い出してみてもやっぱり知らない子だ。 「とりあえず、誰だお前? いきなり見知らぬ少女に殴りかかられるような覚えはないぞ」 「見知らぬ、だと? ふざけるな! お前の言葉で、私がどれだけの屈辱を味わったことか!」  ふむ、どうやら本当にどこかで会っていたようだ。  ジャック・レイドという男は人の顔と名前を覚えるのが苦手なのだ。  彼自身それを自覚しているため、その考えをすんなり受け入れられた。 「悪いが記憶にないな。覚えるのは苦手なんだ」 「記憶にないだと? だったら思い出させてやる! あれはこの学園の、入学試験の日のことだ!」  入学試験? そう言われてジャックは、今度はその日のことを思い出してみた。
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