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「お前、あの時ぶつかった子供か」
「子供じゃない! 私は今年で十五歳だ! パラケルスス魔法学園の新入生だ! なのに貴様! ちょっと自分が大きいからって、人に見えなかっただの付き添いだのと! 覚悟しろ!」
疑問が解けて困惑はなくなったが、ジャックは引き続き機嫌が悪いままだ。
まいった、この子供、もとい少女も、完全にヤル気だ。
いつもなら軽くあしらう所だが、いかんせん今彼はとくに機嫌が悪い。
そのためこう考えた。
一発かます、話はそれからだ。
カーン、二人にはゴングが聞こえたような気がした。
少女はジャックに向かって、跳び上がって殴りかかった。
狭い路地では左右に躱せない。
が、躱す必要もない。
ジャックは右拳で迎え打つ、空中では回避出来ない。
はずが、
「…ッ!?」
少女は空中で回避した。
そうか、この路地は肩幅より少し広い程度、『肉体強化』を使えば壁を蹴って空中で跳ぶことも可能。
そうしてジャックの背後に回り込み隙だらけの背中を叩く、それが少女の狙い。
「もらった!」
少女が叫ぶ、背中に衝撃、身体が前によろける。
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