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しかし相手はジャック・レイド、その程度では倒れない。
ジャックはよろけた身体を左足を出して支え、振り向きざまに少女の胸ぐらを掴み、思い切り振り上げた。
その時少女は見た。
いたいけな少女の胸ぐらを掴み、振り上げたその男の顔を。
彼は笑っていた。それはもう愉快そうに、口を三日月のように歪め、凶悪に笑っていた。
それを見て少女は悟った。
こいつに関わるんじゃなかった、と。
そしてジャックは少女を地面に叩きつけた。
一見すれば非道この上ないが、これでもジャックにしてみれば手加減した方だ。
石畳の表通りと違って、路地裏は柔らかい土。
その上、少女は『肉体強化』を使っていたようだし、大したダメージはないだろう。
実際少女もすぐに立ち上がった。
しかし、若干怯えたように見える。
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