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「それは無理だな! 覚えるのは苦手なんだ!」
ジャックは人混みに消えた少女にそう叫んだが、内心、覚えておこう、と考えていた。
自分の背後をとった動きは、大したものだったし、その拳も速く、鋭いものだった。
ジャックはこういう喧嘩は嫌いではない。
少女とは、今度はゆっくり話がしたい、とも考えていたのだ。
少し機嫌がよくなったジャックは、騒ぐ野次馬を睨み付け、強引に道を開けさせて、最初からこうすれば良かったな、と思いながら、学生寮に向かった。
ジャックが寮でリオンと合流した後、少女の名前を聞かなかったことを思い出し、また不機嫌になったのを、リオンは不思議そうに見ていた。
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