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「というのが、あの学園の入学案内らしい」
学園へ向かう船の甲板で目付きの悪い長身の少年が、隣に立つ黒髪で顔立ちのいい少年に言った。
彼らはパラケルスス魔法学園の新入生である。
長身の少年がジャック・レイド、黒髪の少年がリオン・ハーツ、二人は幼い頃からの親友だ。
「そいつはなんとも、面白くもない入学案内だな」
リオンはあくびを噛み殺しながら、やる気なさそうに言う。
この数日揺れる船の上でろくに眠れていないのだ。
二人はとある小国の首都に暮らす普通の子供だった。
しかし、ある日近所に暮らす子供を集めて行われた、『まほうをつかってみよう』というイベントを境に、その評価は一変した。
そのイベントは、国に仕える魔法使いが、子供達に『肉体強化』という魔法を教えるものだったが、普通の子供ならせいぜい大人と腕相撲で勝てる程度のはずが、二人はなんと、その魔法使い以上の『肉体強化』を使ったのだ。
そう、二人はいわゆる天才だったのである。
以来二人は国で魔法を学び、今年の春に見事、パラケルスス魔法学園に入学することが出来たのだ。
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