260人が本棚に入れています
本棚に追加
「来週からいよいよこの学園の生徒か~、どんな精霊と」「すいませんお姉さん、そこのリンゴとモモ一つ」「てめえ! 今俺の肩にぶつかった」
うるせぇ、片っ端から殴り飛ばしてやろうか。
ジャックはわりと本気でそう思った。
機嫌悪そうだなぁ、片っ端から殴り飛ばしたりしねぇよな。
リオンはかなり本気でそう思った。
わかってはいたがやはり人が多い。
これなら回り道したほうが、良かったかもしれない。
急がば回れ、昔の人はいいこと言った。
そう考えてジャックは、リオンに声をかけた。
「おい、リオン! どこかで人の少ない通りに抜けられないか? その方が早く着きそうだ!」
雑踏にかき消されないように、大きな声で叫ぶように言ったが、返事はない。
もう一度名前を呼びながら振り返ったが、そこにリオンの姿はなかった。
どうやら人混みに流されはぐれたらしい。
ジャックはそれがわかり、とうとう暴れ出しそうなほど機嫌が悪くなったが、たまたま人混みの先に路地裏を見つけ、そこに抜けて気分を落ち着かせた。
少し休んでから寮に向かおう、リオンともそこで合流出来るだろう。
そう考えた時、
「ジャック・レイド!」
自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、振り向くと金髪の少女が殴りかかって来た。
最初のコメントを投稿しよう!