9 二人でお買物

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「だって福原さんに恥かかすわけにはいかないでしょ。…それとデートじゃありませんから!」 福原さんは美人だ。 たぶん私服もかわいらしい。 一緒に歩く男がダサかったら、恥ずかしいだろ? それに。 「先輩の恋人として、福原さんにダサいと思われるのだけは、プライドが許しません」 きっぱりと言ってやった。 あたりまえだ。 他の誰にダサいと思われてもかまわないけれど、福原さんだけはダメだ。 お兄ちゃんの恋人はかっこいい、と。 そう思ってもらいたい。 「しょうがねえなぁ」 かすかに頬を赤らめて、先輩が動いた。 勝った! 俺の洋服をあさる先輩を、後ろからにまにまと眺める。 付き合うようになって知ったこと。 先輩は、恋人にはめちゃくちゃ甘い。 仕事は厳しいくせに、プライベートではものすごく優しい。 優しいというより甘い。 甘すぎる。 そのギャップがまた、たまんねぇんだよな。 抱きしめたくて、うずうずする。
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