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「だって福原さんに恥かかすわけにはいかないでしょ。…それとデートじゃありませんから!」
福原さんは美人だ。
たぶん私服もかわいらしい。
一緒に歩く男がダサかったら、恥ずかしいだろ?
それに。
「先輩の恋人として、福原さんにダサいと思われるのだけは、プライドが許しません」
きっぱりと言ってやった。
あたりまえだ。
他の誰にダサいと思われてもかまわないけれど、福原さんだけはダメだ。
お兄ちゃんの恋人はかっこいい、と。
そう思ってもらいたい。
「しょうがねえなぁ」
かすかに頬を赤らめて、先輩が動いた。
勝った!
俺の洋服をあさる先輩を、後ろからにまにまと眺める。
付き合うようになって知ったこと。
先輩は、恋人にはめちゃくちゃ甘い。
仕事は厳しいくせに、プライベートではものすごく優しい。
優しいというより甘い。
甘すぎる。
そのギャップがまた、たまんねぇんだよな。
抱きしめたくて、うずうずする。
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