1 実家に帰ろう

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「お盆は実家に帰りましょうってことっスよね」 ちゃんと聞いてましたよアピールをしながら、俺は答えた。 軽くため息をついた先輩が、元のトーンで話を続ける。 「ご両親だって、仕事の話とか聞きたいだろう? 学生時代とは違うんだから、まとまった休みのときは実家に帰りなさい」 子供を諭すような先輩の声。 あなたは親ですか? それとも教師? でも、こういう先輩も悪くない。 俺はまたにやけそうな顔を必死に抑えて、口を開いた。 「じゃあ、一泊だけ」 無言で睨まれた。 「じゃ、じゃあ、二泊?」 あぁ、先輩の頭にツノが見える。 「…三泊してきます」
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