1 実家に帰ろう

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涙目で俺はうつむいた。 わかってる。 俺だってわかっている。 お袋からは、お盆くらい帰ってきなさいと電話があったし、 兄貴からも、くどいくらいにメールが来ていた。 大学時代は夏休みも長かったから、いつでも帰れるしーなんて思いながら、年に一度顔を出せばいいほうで。 俺、親不孝なんかなぁ。 「宮下、初給料でご両親に何かプレゼントしたか?」 うつむいた頭をなでられて、顔を上げる。 プレゼント?って何? 「俺、四月の給料日のころに、お前に言ったよなぁ」 あ、ヤバイ。 また先輩の声が低い。
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