六 妹と俺と恋人と

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「俺だってわかんねぇよ。なんなんだよ、唯香のやつ。俺何かしたか? なあ?俺は何かしたのか?」 八つ当たりだと自分でも思う。 それでも何か口にしないと、不安で堪らない。 隣に座る宮下の服を掴んで、揺さぶった。 「先輩」 宮下の落ち着いた声がして、しっかりと胸の中に抱きしめられた。 心臓の音が聞こえてきて、目を閉じる。 じっと耳を傾けていると、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。 「ごめん。お前に言ってもしょうがないよな」 唯香は俺の妹だから、俺がどうにかしなきゃいけないことで。 宮下には関係ない。 いや、関係はあるが、巻き込みたくはない。 できることなら。 「大丈夫ですよ。福原さん何も言ってなかったし」 「……ん」 「それに、俺は平気ですから」 「……ぅん」 背中に回された腕が、温かい。 ゆっくりと言葉を選ぶ宮下になだめられて、楽になった。
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