7 誘われました…

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福原さんが突然やってきたあの日から十日。 なにやらお疲れ気味の先輩のために、好物のイチゴオレを買いに来た。 最上階の自動販売機。 めったに人のいないそこに、めずらしく人影があった。 「あ……」 ピンク色の制服。 受付だけが着ているその服は、若い男性社員の憧れで。 俺の声に気づいて振り向いたのは、やはり福原さんだった。 「…お疲れ様です」 俺を見て、一瞬何かを考えて、それからにこやかな笑みを向けてくれた。 「あ、お疲れ様っス」 慌ててお辞儀を返す。 福原さんの手に握られていたのは、イチゴオレで。 親しげな子供っぽい笑顔で、自販機の前を譲ってくれた。 「七の分?」 二度ボタンを押した俺に、小声で問いかけてくる。 同じ嗜好をもつ者としての親しみが、そこにあった。 「先輩、お疲れみたいなんで」 課長とともに、朝から不在の先輩を思う。 昼には戻ると言っていたから、そろそろ帰ってくるだろうか。 イチゴオレ喜んでくれるかな。
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