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「七、忙しいんだ…」
二人でエレベーターに向かいながら、福原さんがポツリとつぶやく。
しばらく黙っていたかと思うと、突然、腕に手をかけられた。
「宮下さん、週末おヒマですか?」
角を曲がればエレベーターホールだ。
その手前でやんわりと止められた。
「はい?」
問われた意味がわからない。
普通に考えれば、誘われているってことなのだろうが。
そうなのか?
俺を誘っているのか?
それとも…
「えーっと……ヒマというか…」
なんだろう、これは。
あの福原さんだ。
美人で、気立てもよくて、しっかりしていて。
お嫁さんにしたい女性、ナンバーワンだという噂。
そんな人に誘われているのに、なんだか胸騒ぎがして仕方がない。
どうしたらいいんだ?
「買物付き合って欲しいなぁと思って。七、忙しいみたいだし、宮下さんさえよければ」
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