1 実家に帰ろう

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「え、ぁあ、言われたような、聞いたような…」 視線をそらして必死に考える。 四月の給料日。 俺の初給料。 あのころはまだ意地悪な先輩だと思っていたから、はいはいって聞き流してしまった気がする。 「お前、大学まで出してもらったんだから、おかげで無事に就職できましたって初給料でご両親に何かしろって言ったよな?俺」 「はい。言われました」 「で?」 「…あー、家賃とかで使っちゃったような…」 笑ってごまかそうと思ったら、盛大にため息をつかれてしまった。 おまけに額に手をあてて、なにやら考えこまれてしまったし。 「先輩?」 もしかして初給料で親にプレゼントって、そんなに常識だったのか?
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