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これから仕事を続けていく上で、いろんな経験は役に立つ。
そういう意味では雑務をやらせるのも無駄ではないのだが。
俺の下というのが、変化がなさすぎだ。
「その間、熊谷さんに宮下をお願いできますか?」
彼女はおっとりとした物腰ながら、不思議と仕事の回転が速い。
二つのことを同時にこなせる、女性特有の能力もさることながら、人付き合いというか、根回しが非常にうまい。
仕事は一人でするものではないから。
課内はもちろん、他の課、他社の人たちとうまく渡り合っていかなくてはならない。
それが熊谷さんは秀逸だから。
宮下に学ばさせるには、絶好の機会だと思う。
寂しいとか、
そばにいたいとか、
そういう個人的な心情を仕事にもちこむのは、ためにならない。
宮下はまだ真っ白なスポンジだから、今のうちにたくさんのことを吸収して、成長するべきだ。
そしていつか、あいつの特性にあった仕事環境に送り出してやる。
それが『先輩』としての俺の仕事。
そう思っていた。
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