八 仕事の話

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明日も仕事なのはわかっているが。 今の俺たちに、それは野暮な話だ。 「……先輩」 唇が触れる距離で、ささやかれる言葉。 体の芯までとろけそうになって、たまらない。 「上、行きませんか?」 睡眠目的ではない移動の提案に、口付けで応えた。 俺の体を気遣って、平日はあまり誘ってこない宮下の、遠慮がちなお誘い。 そのくせ、間近で見つめる瞳は、しっかり雄の目をしていて。 喰われそうだ。 「明日、仕事だからな」 一応、釘を刺しておかないと、歯止めが利かなくなったら困る。 止められなくなりそうなのは、たぶん俺のほう。 「わかってますよ」 見透かしたように笑われた。 ずいぶんと余裕だな、おい。 「ちゃんと止めろよ?」 止められなくしてやろうか? なんて思いながら、腕を回す。 唇を合わせて、舐め上げた。 宮下の柔らかい下唇がとても好き。 「抱っこしていきましょうか?」 やけに艶のある声で言われた。 笑っているくせに、本当にする気なのか腕を回されたから。 あわてて立ち上がった。 さすがにそれは、恥ずかしい。
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