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明日も仕事なのはわかっているが。
今の俺たちに、それは野暮な話だ。
「……先輩」
唇が触れる距離で、ささやかれる言葉。
体の芯までとろけそうになって、たまらない。
「上、行きませんか?」
睡眠目的ではない移動の提案に、口付けで応えた。
俺の体を気遣って、平日はあまり誘ってこない宮下の、遠慮がちなお誘い。
そのくせ、間近で見つめる瞳は、しっかり雄の目をしていて。
喰われそうだ。
「明日、仕事だからな」
一応、釘を刺しておかないと、歯止めが利かなくなったら困る。
止められなくなりそうなのは、たぶん俺のほう。
「わかってますよ」
見透かしたように笑われた。
ずいぶんと余裕だな、おい。
「ちゃんと止めろよ?」
止められなくしてやろうか?
なんて思いながら、腕を回す。
唇を合わせて、舐め上げた。
宮下の柔らかい下唇がとても好き。
「抱っこしていきましょうか?」
やけに艶のある声で言われた。
笑っているくせに、本当にする気なのか腕を回されたから。
あわてて立ち上がった。
さすがにそれは、恥ずかしい。
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