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「帰省するときに何か買っていきなさい。それと、もう社会人なんだから、ちゃんと親孝行してこい」
「…はい」
あきれたような先輩の声に、さすがにまじめに返事をする。
なんか俺って自分のことしか考えてなかったかも。
先輩ってすげぇなぁ。
俺のことまできちんと考えてくれてるなんて。
「土日合わせたら休みは一週間あるんだから、残りは一緒に過ごせるだろ?」
反省してしょんぼりと肩を落とすと、先輩の手が髪に触れた。
二三度撫でられてから、コツンと額が触れてきた。
「な?」
数センチの距離でそう言われ、俺の気分は一気に浮上した。
「先輩っ!」
抱きしめた先輩は大人しく腕の中に納まってくれていて。
俺は先輩のさらさらした髪に、顔をうずめた。
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