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「ほら」
俺はどうやらしまりのない顔をしていたらしい。
選んだ服を渡そうと振り返った先輩が、一瞬嫌そうに眉をひそめた。
これも今ならわかる。
先輩は、俺がへらへらしているのを好まない。
でも先輩のせいだから。
かわいすぎる先輩が悪い!
「似合います?」
言われるがままに着替えて、先輩を見る。
上から下までじっと見つめられて、ちょっと照れてしまった。
自分では選ばない組み合わせ。
先輩の好みかなぁ?なんて、うれしくなるじゃん。
「あと、コレな」
いったん部屋から出て行った先輩が、何かを手にして戻ってくる。
首に巻かれたもの。
革の感触?
鏡を見たら、細い革のチョーカー。
「首輪みたい」
そう見えなくもないデザインにつぶやいたら、後ろから言われた。
「みたいじゃなくて、首輪だ。お前にやる。ちゃんと帰って来いよ」
鏡越しに先輩を見ると、そっぽを向いた赤い顔。
うわぁ。やべぇ。
「襲っていいっスか?」
殴られた。
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