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……ー
「下校時刻です。生徒は速やかにー……」
部活も終わり、校内放送で下校が告げられる。
僕も早く帰ろう。
急ぎ足で校門に向かい始めた。
「よお、明。」
「ん?ああ、吉津か。」
ぱっと振り返ると、クラスメイトが立っていた。
「なあ、片上さんは?」
「雫?雫なら今日は部活がないらしいから、もう帰ったぞ。」
そう言うと吉津は残念そうな顔をした。
「あからさまに感情を顔に出すなよ…………」
そういう僕の声は引き気味に聞こえた。
「え、嘘?出てた……?」
「そりゃもう、しょぼんって。顔文字みたいにな。」
そうすると、吉津は声にならないような叫びを上げた。
めんどくさくなって、校門に向かって再び歩き始めた。
「ちょ、明、待ってて。」
あとから吉津が続く。
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