#1 捕まえた。

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宙を舞う花びらが、不規則に揺れて落ちていく その中に一つ、他とは違うそれは混じっていた 私は幼い頃にしていたように、そっと右手を伸ばして空を掴んだ 手の中に、小さな、ひんやりと冷たい感覚 軽く握った手の中に小さな幸せがあるような気がした やっぱり、春は好き 「紗由奈」 後ろから名前を呼ぶ声がした 振り返らなくても誰だか分かる 自然と顔が綻ぶ 「ねぇ薫、見てっ・・・」 私は振り返り、握っていた右手を開く その瞬間、少し強い風がふいた 「っあ」 「おっと、」
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