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その路地裏の香水店へある日やって来たのは二十歳そこそこの若い女性だった。緊張した様子でおずおずと店の女主人に問いかけた。
「あ、あの。こちらでどんな男性も虜にできる魔法の香水があると聞いて来たんですけど」
女店主はその香水の小瓶を差し出し、蓋を開けて女性に嗅がせた。女性は少し首をかしげて言う。
「無色透明ですね。確かにそれっぽい匂いはしますけど……それでお幾らなんですか?」
「一瓶百万円でございます」
女性客は一瞬ひきつった表情を浮かべたが、すぐに気を取り直して言った。
「わ、分かりました。明日にでも……」
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