究極のフェロモン香水

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 彼女は黙って左手の薬指の婚約指輪を見せた。 「おや、それはおめでとうございます。ところでそろそろ錠剤が切れたでしょう。またお求めに?」  彼女は幸せそうな顔で上品に首を横に振り、そして愛想よく微笑んで去って行った。店のドアから女の店員がおずおずと顔を出して店主に言った。 「あの、黙っていてよかったんですか?」  店主は指を自分の唇にあて「シッ」と店員をたしなめた。 「いいか、口が裂けても誰にも言うんじゃないぞ。あの方に間違って犬用の製品をお渡ししてしまったなんて事は」
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