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楽しみすぎて、寝れなかった。
というのを、経験するとは思わなかった。
それでも人並みには寝たけれど、いつもより少なかった気がする。
どれだけ文化祭楽しみにしていたんだと、苦笑が漏れた。
当日になるのは、早い。
自分の教室に行く前に、生徒会室に一旦行かなければ。
犬のコスプレ衣装は、華也が教室で渡してくれることになっているため、手ぶらで良い。
校舎へと向かう道はすでに生徒が多く居た。
何時もよりワクワクしているように感じるのは、きっと気のせいではないだろう。
それもそうだ。
孤立ぎみなこの学園が、公開されるのだから。
普段はおれたちしか居ないこの学園に、親達が来る。
それは、将来継ぐであろう跡取りの生徒達には重要で。
ここで下手に出れば、見捨てられるかもそれないという恐怖もあるのかもしれない。
まあ、たかが文化祭で見捨てられるのも、それは無いのだろうが。
家がでかくなればなるほど、色々あるだろう。
桐生としてのおれだったら、気も使うかもそれないが、今のおれは自由に文化祭を満喫しようと思う。
「直紀様」
生徒会室に向かっていれば、声を掛けられた。
ここ最近聞いてなかったその声は、おれの親衛隊である彼ら。
「この間の件ですが、3日間の停学を言い渡した。と風紀委員長が言っていました…」
中宮さんが言う。
風紀委員長、真倉さんが言ってしまったのだろうかと不安になったが、光野さんの「この間の件とは?」の一言で、何も知らないのだと分かった。
彼らなら言い触らさないだろうし、伝言を頼んだのだろうと考える。
だからと言って、この間の件という荒田さん絡みであったことを告げ口のように言う気にはならなかったので、曖昧に笑った。
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