桜歌学園に行く日。

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開いた口が、というのはこの事なのだろうと思う。 「とりあえず職員室行くぞ。理事長は俺の父さんだからな、言わなくてもいい」 前を歩くご主人様の後を小走りで着いていけば、横の木がガサリと音をたてる。 と思えば、なにか黒いものが落ちた。 「なんだよ、転校生っていうから楽しみにしてたのにさ。王道じゃねーし、会長サマと来るってどういうこと」 頭に付いた葉っぱを手で払いながら、立ち上がったのは前髪で顔が見えない男子生徒。 いや、男子しか居ないのだけど。 「んー、でも綺麗な顔だなお前」 「えっ…と…ありがとう、ございます?」 少し屈んでおれの顔を覗く彼は、「うーん」と言いながらガン見してくる。 どうすれば、いいの…? 「僕は加賀美皐月な、お前は?」 加賀美 皐月(かがみ さつき)と名乗る彼はおれを指差して言う。 「えーと…」 そういえば、おれの名前どうすればいいんだろう。
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