きっかけの日。

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「貴方は、この家の跡継ぎなのよ」 「しっかりしなさい」 「自覚を持ちなさい」 ずっと言われ続けた言葉。 「直紀様」 おれに『様』なんていらない。 おれの『桐生 直紀(きりゅう なおき)』なんて名前、いらない。 桐生家は有名な一家で、世界にも名を轟かす家だ。 小さい頃から、そんな親の後ろ姿をみて育ってきた。 なに不自由なく暮らしてきたし、別に両親に感謝してないわけでもない。 でも、いらないんだ。 『桐生』なんていう、肩書きなんて。 「お父様を見習いなさい」 もう、お父様の顔なんて、覚えてないよ。
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