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「寮に行ってないんだろう?さっさと行って来い。服やらなんやらを段ボールに詰めて送り付けてやった、片付けろ」
しっかりとした説明はないままご主人様に背中を押される。
座ったままだったから、前のめりになってしまった。
「失礼しました」
最後に会釈をしてドアを閉めようとすれば、夏川さんが手を振ってくれたので振りかえした。
閉める間際に、ご主人様は喉を鳴らして笑う。
「部屋は、俺と同室だからな。綺麗に片付けてなかったら、お仕置きだ」
え、いや。
ずっと一緒にいる、言ったのはおれだけど、どこまで突き通すんだ。
ご主人様になら、別に嫌じゃない。
うん、嫌じゃない。
だけど。
やけに「お仕置き」という言葉がエロかったのは…なんでなんだ。
火照ってしまった顔を手で扇ぎながら、外を目指して行く。
あ、これ…たどり着けるかな…?
さっと青くなってしまったような気がする顔を、今度は手で暖める。
これ、本気で迷子になるかも。
と思ったのは一瞬で、まぁ、いずれは出れるだろうと前に進む。
前向きな性格がおれの取り柄だ。
これが長所であり、短所でもあるのだが。
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