桜歌学園に行く日。

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ドアから耳を離しニヤニヤと笑いながらおれに近付いて来る。 「い、いいっ…!」 赤くなっている顔を手で隠しながら声を張り上げてしまった。 「もー、そんな本気になんなって。純粋だな直紀は」 肩を叩いて来る皐月とのこの空間に耐えきれなくなり、逃げ場を探して目の前のドアノブに手を伸ばす。 「あ」 皐月から漏れた声を聞きながら、おれは何も考えずにドアを開けた。 あ、さっき皐月言ってたんだった。 確か、この部屋は寮長室で。 確か、この部屋で今は…。 「っと…誰だっていう」 気だる気な声に甘く漏れる声。 「あーあ…」なんて言う皐月の声が後ろで聞こえた。 止めてほしかったよ…皐月。 目に飛び込んで来たのは大きなベットにいる二人。 勿論、二人とも男。 「あっ…か、帰ります…っ」 下にいる男の子が赤い顔で言えば、上にいる男の人が頭を掻く。 「シャワー浴びていきな。そんな姿で帰せないっていう」 男の人が男の子の背中を押せば、男の子は逃げるようにしてシャワーがあるらしい場所に駆けていった。 「で、君達は何のよう?…一人は知らない顔だけど、皐月、今は授業中っていう」 男の人が立ち上がったので、慌てて顔を背ける。 いや、だって目のやり場が…。 カチャカチャという音がしたのでちらみをすれば、ズボンを履いていた。 上半身は何も着ていないが。 「授業中ならアンタもっしょー!あ、直紀、この人が寮長の曰比谷健な」 曰比谷 健(ひびや たける)。 出会いから、強烈的な人。
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