桜歌学園に行く日。

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「なおき…あぁ!君が転入してくるっていう!待ってたよ。だから僕ここにいたんだ」 曰比谷さんは奥の部屋に入っていき、一分も掛からない内に出てきた。 そして、おれに小さなものを手渡す。 って…カード? 「それ、寮のカギっていう」 「ドアの前に翳すところあっから、そこにやればいいのさ」 皐月がおれの後ろから除きこんでくる。 「お?これ、生徒会専用のじゃーん」 ポケットから同じサイズのカードを皐月は取り出しておれに見せる。 「色ちげーだろ?」 そう言われて目を移せば、おれのカードは金色っぽく輝いている。 皐月のカードは銀色だ。 「朝も会長サマと居たしな。直紀、すげーやつなわけ?」 「はは、そんなことないですよ」 今日、何故か生徒会補佐に任命されたけど。 納得いかない、という顔をする皐月に気付かないふりをして。 ずっと気付かないふりをしていた視線をくれる曰比谷さんに声をかける。 「あの、なにか?」 「いやー綺麗な子が来たなっていう。今からどう?どうせ授業行かないんでしょ?」 ニヤって笑ってもこの人も美形のため、様になる。 この学園には、美形しかいないのか? ふと頭に過ったが、確かめる術もないので放置。 それよりも、今は目の前の曰比谷さんからどうやって逃げるか、だ。 「すみません…今日は荷物の整理をしなければいけないので」 「そんなの終わった後で僕も手伝えば終わるっていう」 終わった後、というのはきっとシャワーに行った男の子とヤっていたことだろう。 ぞわりと背中に鳥肌がたった。 「え、遠慮しときます…っ」 じりじりと距離を詰めてくる曰比谷さんに、おれは少しずつ後退りをする。 壁との距離が近くなったときに、皐月に助けを求める視線を送れば。 ニヤニヤしていた皐月はおれと曰比谷さんの間に入ってきた。 「だっめだなー健先輩っ!直紀は僕と遊ぶんだっつーの」
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