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ご主人様が席についてから、その前に座る。
手を合わせて「いただきます」と言うことを大切にしているおれは、いつも通り言った。
ご主人様はすでに食べ始めていて、おれらは仮にも金持ちなので無言で食べ続ける。
うん、美味しい。
デザートのショートケーキなんて最高だ。
やばい、毎日でも食べたいくらいだ。
やっぱり金持ち校だからかな。
美味しさに頬が緩みながら食べるおれを、ご主人様はじっと見ていたようで。
飲んでいた紅茶を置き、口を開いた。
「直紀は、随分上品に食べるんだな。俺らと大差ないな」
最後の一口を喉に詰まらせてしまった。
「そ、そうですか?」
「ああ、良い食べ方だ」
ご主人様はそう言い残すと「風呂に入る」と出ていった。
そりゃ、上品な食べ方に決まっている。
だって桐生家の息子だったんだ。
それが汚い食べ方だったらどうする。
ご主人様と入れ替わりにお風呂に入り、することもないのでベットにまた潜り込む。
ね、寝れない。
今さら戻る気にもならない。
何度目かの寝返りをうったとき、思い出した。
ご主人様に服などのお礼を言っていない。
明日、言えば良いや。
「おやすみなさい…」
明日からは、授業だ。
楽しみ、だなぁ。
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