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椅子から立ち上がって手を挙げているのは、昨日堂々とサボり、おれに色々なことを教えてくれた皐月。
同じ学年だとは思っていたが、同じクラスだとは思わなかった。
「皐月、同じクラスなんだね」
「おー!良かった。僕、直紀と同じクラスになればいいなーって思ってたからな」
嬉しいことを言ってくれる人だ。
転入する初日はドキドキするものだが(勿論してる)、皐月のおかげで少し楽になった。
佐々木先生は必要最低限の連絡をして、さっさと教室から出ていく。
早すぎる。
でも、A組のみんなはなにも言わない…ということはいつものことなのだろう。
それも、どうかと思うが。
教科書類は机に積み重なっていた。
次の授業の準備をしてから、一息ついて窓の外を見る。
窓側の一番後ろ。
最高の位置だと思う。
「ね、ね!君、さっきゅんとお友達なの?」
首を傾げて聞いてきたのは、可愛らしい男の子。
これが俗に言う男の娘ってやつですか。
よく分からないけれど。
「さっきゅん…?」
「あ、ごめんね。皐月のことだよ」
さっきゅん…。
随分可愛くなってしまっているな。
「はい。昨日、寮を案内してくれたんです」
「そっか!だから昨日さっきゅん居なかったんだね」
ニコニコと笑うこの男の子は、男のおれから見ても、可愛い。
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