2年A組に入る日。

3/16
3501人が本棚に入れています
本棚に追加
/217ページ
椅子から立ち上がって手を挙げているのは、昨日堂々とサボり、おれに色々なことを教えてくれた皐月。 同じ学年だとは思っていたが、同じクラスだとは思わなかった。 「皐月、同じクラスなんだね」 「おー!良かった。僕、直紀と同じクラスになればいいなーって思ってたからな」 嬉しいことを言ってくれる人だ。 転入する初日はドキドキするものだが(勿論してる)、皐月のおかげで少し楽になった。 佐々木先生は必要最低限の連絡をして、さっさと教室から出ていく。 早すぎる。 でも、A組のみんなはなにも言わない…ということはいつものことなのだろう。 それも、どうかと思うが。 教科書類は机に積み重なっていた。 次の授業の準備をしてから、一息ついて窓の外を見る。 窓側の一番後ろ。 最高の位置だと思う。 「ね、ね!君、さっきゅんとお友達なの?」 首を傾げて聞いてきたのは、可愛らしい男の子。 これが俗に言う男の娘ってやつですか。 よく分からないけれど。 「さっきゅん…?」 「あ、ごめんね。皐月のことだよ」 さっきゅん…。 随分可愛くなってしまっているな。 「はい。昨日、寮を案内してくれたんです」 「そっか!だから昨日さっきゅん居なかったんだね」 ニコニコと笑うこの男の子は、男のおれから見ても、可愛い。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!